イノセンス それは、いのち。

押井守イノセンス』を首を長くして待っている。
押井守の新作『イノセンス』の特報第3弾が公開された。イノセンス公式サイト、特報ページ。もうこれが失禁もので、この段階で2004年のベストに決定しそうな勢い。義体の顔が「ガバッ」と開くカットやなどはもう最高。あらゆる意味で、高い技術。ヤン・シュヴァンクマイエルの「技術が個性を産む」という言葉や黒木和雄だったと思うがの「芸術などはない、そこにはただただ技術があるのみ」という言葉を改めて実感する*1。素朴な個性、人間の純粋な魂が新の芸術を産むなどという考え方はやはり半分以上は幻想であり、間違いであろう。
さらに今回も音楽を担当している川井憲次もかなりヤバイことをやっている模様。
ここここの記事を見ていると、期待爆発という感じ。特に後者の地下倉庫でオルゴールを録音するなどという試みなどはポーリン・オリベロス*2を彷彿とさせる。ちなみにこの前の作品で彼女の音楽を(もちろん無断で)使用したが、凄く「面白い」(音楽批評の言葉を私は持っていないので、失礼)。瞑想的である。私は先述のようにあまり音楽に明るいわけではないが、川井憲次という音楽家は素晴らしいとおもう。『アヴァロン』でさえ、音楽についてはやや仰々しく、大げさとも思われるが、それでもサントラを即座に購入してしまうほどだったし、『攻殻機動隊』に至っては、言わずもがなである。現代音楽の分野での評価は多少あるのだろうか。かつて武満徹一柳彗も映画音楽を積極的に手がけ、素晴らしいスコアを残したではないか。ただ、たしかに上記の試みのようにエピゴーネンに過ぎないのではないかといわれれば、その域にとどまっているともいえるかもしれないが。そのあたりはどうなのだろうか。すこし、川井憲次の仕事を洗ってみようか。
ともかく、押井が近年発言している「デジタルの地平」、そして「その前には全ての映画はアニメーションになる」ということを確かめなくてはなるまい。『マトリックス』シリーズが一応試みたことの理想形の一種であり、もしかするとアンチテーゼかもしれないこの作品が、われわれにどのような地平をみせてくれるのか。現時点で『マトリックス』は霞みつつある。
まぁ、完成品を観てみないとなんともいえないのは確かなのだが、確信に近いものを持ちつつある。傑作に違いない。

*1:そういえば最新作の『美しい夏キリシマ』がキネマ旬報ベストテンというあまりあてにならないヤツでで1位になっていた

*2:参考:WIRED NEWS、2003年3月15日の記事