『ふたりはプリキュア』第8話「プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!?」演出五十嵐卓哉

記すのを忘れていたが、この前の日曜日の『ふたりはプリキュア』の第8話「プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!? 」は非常に出来が良い回だった。演出は五十嵐卓哉。『おジャ魔女どれみ』、『明日のナージャ』ではシリーズディレクターをしていた人物だ。逆光でハレーション気味の画作りや、信号などのモノを効果的に挿入させたりしていた。
あと、これは第1話でも強く感じたのだが夕暮れの風景が多く使われているという点。ナージャでは名作の「フランシスの向こう側」くらいでしか見られなかった風景である。夕暮れの風景を物語の中で違和感なく有効に使えるのは「学園もの」という舞台装置があるからだろう。朝〜昼間は基本的に授業などかイレギュラーに「敵」が現れるくらいのもので、この作品のテーマと思われる「友情」についての描写は放課後以降になる。すると当然それは夕暮れの時間である。今回のエピソードでは登校時間の朝のまぶしい光線と下校時間の淡い夕焼けの光線の書き分けがキャラクターの心情描写と上手くマッチしていた。
この回を基準により高いアベレージで続けて欲しいと思うが、毎回これくらいのレベルを維持するのは難しいのだろう。
あと、サブタイトルが出る前のシーンの最初に実写と思わせるお好み焼きが映し出されたのだが、あれは『おジャ魔女どれみ♯』においてどれみとあいこが喧嘩して仲直りする回「仲直りはたこ焼きの味」への目配せで、喧嘩して仲直りして友情が深まるというストーリーの暗示だと考えるのは考え過ぎだろうか。にしても、あのお好み焼きの実写は印象に残る。真上から丸いお好み焼きを捉えたショット。記号論的な読み方をすると、この冒頭のお好み焼き、ほのかのおばあちゃんが淹れてくれた紅茶、庭の蹲踞(つくばい)、すべて丸いものが真上から捉えられたイマージュである。
とにかく作画のレベルも高く、カットの数も多く、プリキュアのなかでこれからの一つの指標になる回であると思う。抽象的な言い方をすると「頑張った」回である。