日本―スコットランド

まず結果から、スコットランド32-11ジャパン。
正直に言って、予想に反して大善戦であるといってよい。
後半に唯一取ったトライは、前半は点差を離されないように耐え(よく耐えたと思う)、後半までミラーを温存して、攻撃のリズムをかえて、トライ。「計算どおり」に取ったトライ。これはやはりよくやったといえる。
前半戦は「日本的」ともいえる、彼らも高校ラグビーの時代からきつくいわれた来たであろう、早い詰め、大きい相手を恐れずタックル。という、社会人、大学生よりも高校生の方がむしろきちんとしていると思われる、タックルをきちんとしていた。これは「根性」などという曖昧な言葉で片付けられるものではなく、日々の練習の賜物であろう。とてつもなく面白くなく、しんどい練習だ。日本が世界を相手に通用するものといえば、基本をしっかりやるということしかないのだ。基本的なフィジカル、フィットネス、メンタルが整ってなければ、今世界レベルでは当然の、「オフロード」のパス(この言葉は最近はじめてきいた、私がやっていた頃は、そういうことはもちろんあったし、やろうとしていたが、「タックルをずらしてボールを放せ!」とか説明的な言葉使いだった。固有な単語を使って、概念化して、無意識化して、プレーで実行する。これはスポーツにおいてとても効果があると思う。見る側にとっても。)も、基本的なところで負けていては、無意味である。だから、FWがほとんど力負けしていないのは大きかった。
大畑のディフェンスが格段によくなっているのに驚いた。ウイングというポジションは最後にトライを取る/とらねばならない、花形ポジションであるとと同時に、裏を返せばトライを取られているポジションでもある。ウイングのディフェンスが悪いことは致命的なのだ。それがこの試合、大畑はトライは取らなかったがトライに匹敵するのディフェンスをした。大畑は足は速いがステップは中途半端で走っている時間は長いが横にばっかり進んでゲインしていないというイメージだったが、かなり見なおした。(ちなみに私もウイングで、ディフェンスは苦手だった。ウィングのディフェンスは難しい。)
しかし、スコットランドが最初にすんなりトライを取れたこともあり油断していたことは事実であろう。試合ごのインタビューでも、キャプテンなどは「何回も混乱した」と言っていた。ラグビーのゲームにはかなり綿密な「プラン」をもって望むので、基本となる敵の実力を見誤った場合、それは混乱するだろう。焦るだろう。元木が試合前にいった通り「最初から、『おや?』と思わせること」は成功した。これもジャパンのプランどおりなのだろうか?が、これは1回しか使えない。フランスはもはや油断はしないだろう。
私の試合経験からすると、終始勝てそうな気がしていたのではないか?コンタクトプレーもそれほど怖いもではないし、驚異的にスピードがあるわけでもない。だが、それでも後半にもなるとするすると間を抜かれていく。これが地力の差というものだ。地力の差とはつまりラックのボールをオーバーするときにかける人数の差によって示されていた。結果、ディフェンスは粘り強く、オフェンスは省エネでという非常に不利な戦いを強いられているのだ。だからタックルも、ラックのめくりもきちんてしているのに何故か抜けられる。するすると抜けられて取られたトライはほとんどそれに起因する。「善戦」したからこそ、世界との差を感じるべきだ。「勝てたんじゃないか?」は幻想である。あきらかに実力の差はある。そして次の試合はフランスだ。バックス陣はこの試合以上にタイトなディフェンスをしないと、またあの悪夢の繰り返しになる*1。まぁ、そこまでは行かないとは思うが。

その他の試合はバイトのため未見。結果はイングランド84-6グルジア。順当。どんな試合だったのだろうか。私はイングランドが優勝するのではないかと思っているのだが…。ウェールズ41-10カナダ。これも順当。やはり、UKは強い。弱いと恥ずかしいからなぁ。日本が柔道で負けるような感じか。
今日から撮影がクランクインするので、あまり見れないだろうな。

*1:第3回ワールドカップのNZL戦で145-17という「歴史的大敗」を喫した。