2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

没後50年 溝口健二 国際シンポジウム MIZOGUCHI 2006 @有楽町朝日ホール

ビクトル・エリセのスピーチ(予め用意した原稿を読んでいるようだったし、通訳の方も予め訳文を用意しているようでこの部分だけはメモを取らずにペーパーを読んでいたので「スピーチ」と呼ぶのが相応しいだろう)が本当に素晴らしくて涙が出た。あの語りか…

アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』ロシア/イタリア/フランス/スイス、2005年 @銀座シネパトス

確かに面白い。しかしその面白さはこのフィルム(と、いうより監督であるソクーロフ)が表象せんとしていることとは乖離しているような気がする。 このフィルムの豊かさとは例えば、イッセー尾形の仕草の機微であったり、ラストの桃井かおりの表情、特に目の…

ジャン=リュック・ゴダール『映画史特別編 選ばれた瞬間』フランス、2005年 @シャンテシネ

本当に、どういう基準でどのような組み立てでイマージュが「選ばれて」いるか良く分からない部分がほとんどで、例えば私がかつて『映画史』を観て「好きだ」と思った部分があったりなかったり、要するに出鱈目というか適当に選んでいるのではないか、と無学…

加藤治代『チーズとうじ虫』日本、2005年 @ポレポレ東中野

何と残酷なことか。 これを見て涙を流している人は、だいたいこの家族の間に流れる日常と生と死、彼女らの暖かい関係、といったようなキーワードで括られるなにかを見出し、なによりもこのミニマルな構図は普遍性を持つので、たいていの人は自分に置き換えて…

貫井勇志『血族』日本、2002年-2005年 @茅ヶ崎市民文化会館(小ホール)

上記の丁寧な小品を観た後だけに、映画的な説得力の無さが目に付いてしまう。 映画の大半を占める戦国時代の描写の「映像のクオリティ」は確かに高いのだが、そのプロローグ、エピローグの描写、それらと活劇部分との繋ぎに全然説得力が無く、とってつけたよ…

Ming Lai『Pawns of the King』アメリカ、2005年 @茅ヶ崎市民文化会館(小ホール)

下記の『血族』と併映の17分の短編だったのだが、とても好感の持てる小品。 日系アメリカ人たちと、妻を亡くし、それを機に娘の住むアメリカにやってきた男との交歓を描いた作品。 至極当然のことなのだが、見た目はアジア人、日本人の男たちが、ジョージと…