ラグビーワールドカップ準決勝他

ずっと記していなかったが、一応テレビ観戦してきた。予選リーグは番狂わせは全く無し。他のスポーツに比べて番狂わせが少ないとはいえがっかりな結果。強いところと弱いところの差がはっきりとしている。ジャパンを含めた「善戦」と呼ばれる試合にしても、それは前半のみのことで、後半20分くらいになると。計算通りの結果に。最後の方の、ワラビーズアイルランド(17-16)、準々決勝のイングランドウェールズ(28-17)戦などはそれども特筆に価するか。
で、先日の準決勝2カード。どちらも「面白くない」ラグビー、伝統的な、負けないラグビー、ひたむきなディフェンス、FWのラグビーをする両チームが勝ち、「魅力的な」ラグビーをする両チームが、したいことをさせてもらえず、敗北した。
オールブラックスワラビーズ(10-22)。実況解説の言っていたとおり、オールブラックスのディフェンスは一人ひとりの担当する地域が広くそれを個人の力量に頼っている部分があるので、ある程度強力なセンターなどがいくと、ある程度個人技でゲインできる。そのことを予選プールでウェールズが発見せしめた。臆することなくチャレンジしていけば良いと。こういう試合を見ると明らかにワラビーズの生真面目な「詰め」のディフェンスが良く見える。ラインがブレイクした瞬間に壁のようなディフェンスラインが迫ってくる。これは敵を止めるディフェンスではなく、ディフェンスでゲインする、まさに「攻撃」である。私がやっていた高校ラグビーなどでは結局これが推奨される。ドリフトディフェンスなどは、あまり採用されない。というか、史学の強豪ならともかくとして、一般の高校チームは詰めのディフェンスを完成させるのが精一杯である(完成すれば良い方であろう)。試合としては後半は面白くない試合。オールブラックスは同じような展開を続け、ワラビーズのディフェンスに止めつづけられる。挙句、FWのサイドアタックなどを試みるが、効果なし。こういう試合はバックスリーは本当に暇だ。リズムもつかめない。たまにもらってもスペースが無い。悪循環。もっとセンターが強力ならば、センターアタックで、「すれ違いざま」を抜くという展開もあったかもしれない。こういうタイトな試合ほど、バックスリーだけでは得点を取ることは難しくなる。それに比べて詰めないオールブラックスのディフェンスラインをワラビーズは面白いようにゲインして、次々にいきの良い球が供給される。ただ「止める」だけでなく「押し返す」ようなディフェンスが求められるだろう。そういうディフェンスシステムの改善は容易なことではない。
オールブラックスの豪華なバックスリーと"キング"カーロスはほとんど機能しなかった(カーロス・スペンサーにいたっては相手の得点に機能した)。やりたいことをさせてもらえなかった。果敢に詰めてくるディフェンスの餌食に終始なりつづけた。勝負自体は最初のインターセプトしてのトライに集約されるだろうが、それでも、オールブラックスに勝機は見えなかった。
フランス対イングランド(7-24)。イングランドはノートライで勝利。全てウィルキンソンのキック。確かにウィルキンソンのドロップゴールは素晴らしいし、FWは世界一強力だ。しかし、イングランドが勝つ試合を見て興奮するのはサポーターだけだろう。確かに勝利というものは絶対的な価値だし、他のものにより大きな価値を置いてしまってはこういう大会そのものが成り立たなくなってしまう。が、ワールドカップの準決勝がこうも面白くない試合で良いのか。
フランスに勝ち目は無かった。前回大会のようなサプライズも期待できなかった。ただただ、面白くない試合。
面白いラグビーをする両チームが敗れてしまい個人的には残念である。3位決定戦の両チームにまだやる気があることを祈る。オールブラックスの落胆ぶりはいかばかりか。