金子修介『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』1999年/日本 をビデオで

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どうやら、先日観た『ガメラ2』で私が感じた疑問は制作者たちも多少なりとも感じていたように思う。自己批判とまではいかないまでも、反省しているように思える。まずもって「ガメラの被害者」の存在というこの作品の動機部分に好感を持った。怪獣活劇としての面白さのみを言えば確かに『2』の方が単純に面白いというジャッジは下せるかもしれない。しかしあの作品は無邪気過ぎたのだ。その反省がこの作品からひしひしと感じる。
単純に序盤のいじめの描写や、山咲千里ゲームクリエイターの人物描写があまりにも戯画的過ぎて鼻につくところも感じられたが、イリスのよりしろになる前田愛と彼女に密かに思いを寄せる少年、またしても最初に目撃した蛍雪次郎など、今作でははじめて「人間」が前面に押し出されたドラマになっていた。前作までは集団や種とか大枠でしか語ってこられなかった感があったのも、自覚して変えてきたのだろう。その意思表示が最初に示された「ガメラの被害者」である。伊藤和典も伊達に押井守と仕事をしているのではない。
市川崑『炎上』を思わせるような、雨の中炎上する京都や崩壊する京都駅の描写など、今回も樋口真嗣は大変よい仕事をしていると思う。そう、特撮の映像には本来叙情性というものがあるのだ。『1』の東京タワーをはじめ、非常に絵心がある。CG処理されているのが残念としても、着ぐるみの怪獣映画では不可能なアクションのスピード感がある空中戦なども良かった。