サム・ライミ『スパイダーマン2』2004年/アメリカ @MOVIX六甲

ドック・オックの「意思のある人口触手」からの主観ショット。あれがサム・ライミの指紋だろう。最終的に四つの視点が同時に示され、その矛先の人間は葬り去られてしまう。このような、非人間の主観ショットが非常に面白く、スパイディがビルの谷間を飛び回るシーンで、最初これはスパイディの主観ショットかと思いきや、脇から本人が登場する爽快さ。スパイダーマンが飛び回っているシーンがどれも問答無用に素晴らしいのは、もちろんサム・ライミの遊び心あふれるキャメラワークによるものでもあるが、なによりもそのリズムである。ブランコを強くこいだときの爽快感が断続的にリズムよく押し寄せる。サム・ライミは上下左右を無視したキャメラワークと、リズムの人であろう。
スパイダーマンが人前で顔を見せるシーンがどこも素晴らしい。電車でのシーンはまさに涙を禁じえないシーンで、人々の「手」が素晴らしい。まさに落下しようとする彼を支える幾多の手。それはやがて彼を抱えあげ、神とも見紛う様相を呈して、床に静かに横たえる「まだ子供じゃないか」これは落胆ではなくて、承認である。スパイダーマンがやっと物語無いの人々に承認されたシーンであろう。
劇中トビー・マグワイアの顔がユアン・マクレガーに似ているなと何度も思った。同じ今年度アメリカ映画最高傑作の1つである『ビッグ・フィッシュ』の彼の面影が、何度も観ていてよぎった。だからどうだというつもりは無いが。
傑作。