小津安二郎『お早よう』1959年/日本 をビデオで

この作品で気になるのはオープンセットを使われた撮影により、屋外のシーンが極端に多いことであるが、それでも小津の撮影作法は屋外のセットであろうと、屋外のセットであろうと揺らぐものではない。家の庇や壁や屋根が、屋内の襖や戸棚と同じような役割を果たしていて、家と家との間から少しだけ覗く土手の上の道を美しく配された通り行く人々の美しさといったらない。
極端に登場人物が多いのもきになる。吉田喜重のキーワードを用いればこれほど「無秩序」さが強調された作品はないだろう。ものに見られる、見返されるという視点をワンクッションおいて、子供たちからの視点を堂々と導入しつつ、やはり最後には干されたパンツからの視点で纏め上げる。子供たちから見た大人たちの無秩序、しかしその大人子供の対比をも、奥さん連中の政治、男連中の政治をも内包した人間社会の無秩序を見返す洗濯物。
先日の蓮實重彦トークショウ以来、三宅邦子の臀部から目が離せない。確かに見事に彼女は立ちあがる。