万田邦敏『極楽ゾンビ』日本、1990年/『胎児教育』日本、1991年 をDVDで

『極楽ゾンビ』。死んだ父親を診て、帰ろうとする医者が手を洗い、夫が手拭を医者に渡すその仕草が、この画面のフレームが、小津安二郎を思い起こさせると思うや否や、小津調の台詞回しのオンパレードで笑った。しかしなによりもこの画面が1番小津っぽかった。
冒頭、アイリスインで入る画面は父親の足が映っている。そして妻の足、そして店の女の足。おお、これは足がモチーフになっているのかと思いきや、これはタイトルからして死人の物語であることを即座に思い出し、しかしこれはゾンビなのであって、幽霊ではない。その証拠に墓場に出る父親の亡き妻はしっかりと足がなく、「足なんか生やして」と父親にいってのける始末である。その後足がモチーフとして現れることはない。
この2作品どちらも女性の描き方が、ああ、『UNloved』の監督なんだなと思わせる。コミュニケーションの可能性と不可能性とを女のからだと台詞でもって、切実に闘っている。コメディでもホラーでも女性がそういう風に強く描かれている。怖い。

DRAMADAS 万田邦敏ちょっと恐怖劇場 極楽ゾンビ/胎児教育 [DVD]

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