美しい国へ 第2回ガンダーラ映画祭 @下北沢 LA CAMERA

観た順に
Cプロ

Aプロ

  • 山下敦弘向井康介パリ、テキサス、守口』日本、2007年
  • 岡田裕子『メイキングオブ愛憎弁当』日本、2007年
  • しまだゆきやす『誰もが知りたがってるくせにちょっと聞きにくいマルクスのすべてについて教えましょう』日本、2007年
  • 古澤健『この作品のタイトルは『石仏さん』です。』日本、2007年

Bプロ

以上すべて観た。感想は明日早いので明日帰宅後には「必ず」書きたい。といっても帰る前にトニー・スコット期待の新作『デジャヴ』を観に行くつもりだけど。各プログラムに素晴らしい作品があった。嗚呼、色々書きたくなってきた。でもそろそろ寝ないと遅刻するので失敬。
で、つづき(3/18執筆)
とくに良かったと思ったのをいくつか。
ワラッテイイトモ、』、以前から噂には聞いていたのだが、作品の性質上なかなか滅多なことでは観ることは出来ないものだろう。この映画祭に足を運ぶ一番の理由の1つ。
確かに凄い。冒頭の安室奈美恵のスローモーションでただならぬものであることは明白となった。当然ゴダールの『映画史』を想起させる、というか映画史のK.K.ヴァージョンといっても過言ではない。ではタダのパクリかといえばそうではない。毛これからテレビでタモリをみるとき、この作品によって脱構築されたタモリを忘れることは出来ない。もうタモリが違ってみえるだろう。
パリ、テキサス、守口』、いや、これは本当に探偵ナイトスクープ秀逸なる一篇だろう。例えばなにわのロジャー・コーマンがインタビューを受ける風景の白い壁、声の響き具合、完璧にナイトスクープ。「守口市に幻の山下作品があるらしいのですが、探してください」といった体。
『童貞。を〜』いやぁ、劇場でこんなに大爆笑したことはあっただろうか、無論彼がゲロを吐くところ。それだけではなく、彼の自ら廻すキャメラとの距離感が凄い。「オタク」なのに妙な自意識が感じられないのが素晴らしい、彼のパーソナリティに寄るものは絶大だろう。「ぼくが作った映画を憧れのアイドルにみせたいのですが」という依頼といった体。その依頼はかなえられることは無かったが別の憧れの人に会えた!ってところまでナイトスクープっぽい(全然この作品と関係無いけど、ナイトスクープの死んだおじいちゃんがルー大柴にそっくりで…っていうやつを今書きながら思い出した)。編集のテンポが凄く良くて、徹底的に経済的に切り詰められた編集というのは美しいのだな、ということを実感。
『俺ルケ』、制作が94年の『バリゾーゴン』このポスターをバス停で観たのを半ばトラウマの様に覚えている。1994年ということは中学生かもしくは神戸で上映があったのは高校生の頃かもしれない。とにかく『バリゾーゴン』という言葉とポスターとそこに白い張り紙で「失神者続出!」とか書かれているのが目に焼き付いていて、当時それが映画だということ、どこかで公開されるということもわからず、奇妙なポスターが貼ってあったということを良く覚えている。で、それを思い出したのが大学生の時に読んだ柳下毅一郎著『興行師たちの映画史』だ。この本で個人的に一番面白かったのはこの渡辺文樹という映画監督、興行師の存在を認識させてくれて、昔の記憶が晴れ渡るように見えたことだ。と、いうわけでこの作品はナイトスクープに「あの変なポスターは何なんですか」という依頼を出して調査してもらったようなものだ。チャチャチャン♪(ナイトスクープの「オチ」のSE)でも、渡辺監督への踏みこみは甘いと思うので、続編に期待。たった2日間密着インタビューだけだから。
フライヤーに顧問だとか秘書だとかあるのでもしやとおもってたら、案の定会場でもらったガンダーラ新聞や映画祭オープニング映像でやはり探偵!ナイトスクープへのオマージュだった。そして私が好感を持った作品はその精神を体現していたものである。上記の作品はテロップのだし方とかだけでなく、その息吹を感じさせる。無論だから良いとか悪いとかいうのではなく、ナイトスクープとは関係無く良いと思う。決してテレビ番組ではなく、「映画」もしくは「作品」として屹立している。いい映画祭だった。会場も今まで東京でみたなかで一番狭く、映画館でもない。パイプ椅子に市販のスクリーン。ああ、これは大阪のプラネットスタジオプラスワンだ。と思っていたら、これ大阪でもあるらしく会場はプラネットではないか。でも私が上京してから場所が変ったって後輩に聞いたけど、どんな感じになっているのだろうか。あそこで映画を観るという経験は決して上映の質は高くなかったもののなにか秘密のクラブみたいでわくわくしたものだ。