オールザッツ漫才2003

2年連続でバイトあがりでそのままビデオ視聴。
もう中学生の頃からの習慣で、これを見なければ年を越せないという感じ。あの頃は「すんげーBest10」で毎週見ることの出来た芸人もいまやこの番組でしかテレビでお目にかかれない面子も。数年前解散前のスミス婦人、灘儀が「テレビ出るの一年ぶりやー」とネタ中に言っていたのが感慨深かったものだ。
テレビでまともにコントを見る機械がこれしかないようなリットン調査団や、バッファロー吾郎野生爆弾らのコントが毎年一番の楽しみといってもよかろう。
近年は順番に一発ずつネタをやっていくという形式は残しつつメインとして若手(のなかの若手)によるトーナメントが盛りこまれ出した。トーナメントの評判は実際のところどうなのだろうか。トーナメントが進み準々決勝あたりになるとややだれてくるというか、芸人もネタ切れしていたり、すでに知っているネタをやったりしてきて、さらに面白くて勝ちあがってはきたものの、一時に何回も同じ芸人の徐々にクオリティが下がっていくネタを見、膨満感に見舞われかねない。一発ずつ超若手も選りすぐりのネタをするべきではなかろうか。正直、1分のネタなど名刺代わりにかならないし、消化不良である。それでもツカムのが本物の芸人だともいえなくもないが、オールザッツはそういう場ではないと思うし、面白そうなのにもかかわらず一回性で敗退した芸人などに至っては本人も悔しいだろうが、見ているほうもがっかりである。
そうはいってもこの番組で「発見」する芸人もあることは確かだ。去年M-1に出た直後に出演した笑い飯はこの1年で大きく飛躍したと思うし(今回のM-1の1回戦のネタは珠玉である)、今回はじめてみたネゴシックスとろサーモン南海キャンディーズよかった。プラン9の「うまい愛好会」などの昔のネタを彷彿とさせる久馬らしい内容に私のすきな灘犠のアクションが加わる。前日にあったM-1コントラストを成しているのかもかもしれないが、コント系がやはり琴線に触れる。(トータルテンボスも面白かったが次見たとき面白いかは疑問。「今日のネタのハイライト」のアイデアは良いと思う。)
いや、これは所謂「年に一度のお祭り」的なもので、朝まで生放送でお笑い番組をやるという独特な雰囲気で他の場では絶対に生まれない笑いが生まれるのが魅力の一つであることに異論はなかろう。
しかし、気がかりはリットン調査団のネタの質が去年あたりから落ちているのではないかという悲しい事実。リットンでなければかなり面白いのだろうが「偽新幹線で偽福岡に…」のネタなどを知っているだけにどうなのだろうかと思う。リットンのフォロワーでもある、バッファロー吾郎野生爆弾の方が、少なくともこのオールザッツ漫才の中では輝いていたように思う。それでも、リットンの場面転換というか、映画でいえばシーンが変わるような場面の移り変わりのテンポ、間は絶品である。リットン調査団の面白さはもちろんそのネタ自体の持つ発する言葉の面白さやシュルレアリスティックな設定もあるのだが、実は時間と空間の操り方が非常にうまくて、そのうまさこそがネタに妙な説得力のある「場」を与えているのだと思う。これだけは他の芸人も今だ真似できていない/していない点であり、リットンの技術の高さであろう。バッファロー吾郎もネタのイマジネーションは優れているが技術においてはリットン調査団には及ばない。
ちなみに、今年一番笑ったのはやはり野生爆弾。冒頭で川島が赤い爪を出す瞬間は最高の間だった。野生爆弾は着実に技術を上げていると思う。