サミュエル・フラー『Underworld U.S.A.』1961年/アメリカ

邦題は「殺人地帯U.S.A」。字幕無しのビデオを借りたので、筋はちょっとあやふやだが、帰って映像に集中できた。序盤のイマージュの連鎖に息を呑む。例えば主人公の顔、目の部分に掛かる陰。これは少年時代に捕まったとき、成人してから捕まり、刑務所に入った場面で符合する。さらに、この間に見られる、「手」のモンタージュ。悔しさと情けなさでシーツを握り締める少年時代の手から、金庫破りをする大人の手へのモンタージュ。非常にシンプルかつ分りやすいものであるが、極めてスマートに素晴らしいカットである。途中オルゴールの内蔵された人形の発条を巻く「手」、そして当然のようにラストシーンも彼の手のアップで終わる。
年代的には少し後になるのであり得ないことなのだが、ラスト、打たれた後もなおも走りつづける主人公の姿はどうしてもゴダールの『勝手にしやがれ』のラストで疾走するベルモントを連想する。あれはロッセリーニの『無防備都市』の引用であると言うことはもちろん知っているのだが。