ジョン・カーペンター『ヴァンパイア/最期の聖戦』1998年/アメリカ をビデオで

傑作。
冒頭の無意味な空撮、そして"JOHN CARPENTER'S VAMPIRES"のタイトル。さらにサングラスを掛けた渋い男が双眼鏡を覗き込むカットと、続く。正直カーペンターの魅力にとりつかれている人間には麻薬。正しい評価など出来ない。カーペンターがカーペンターであることを確認すれば満足である。
とにかく、序盤に一番の見せ場があって、後はその余韻で最期まで突っ走るといった趣。
いかにも西部劇「的」な、イメージをちりばめるが、そのどれもが堂に入りすぎていて、サム・ライミの『死霊のはらわた』での移動撮影や『キル・ビル』のvol.2での西部劇パートなどよりも遥かに、決まっている。ベタにも程があるようなカットを堂々と、しかも素晴らしく取り上げてしまうカーペンターの力量はさすがだ。
吸血鬼ものは例を挙げるまでも無く、映画とは元来非常に相性が良いものだと思う。それは光と影、ヴァンパイアは大概日光に弱く、影に潜んでいるものである。つまり、「映画的」なライティングに実際的に、ナラティブ上の要請もある。光と影のコントラストに当然誰でも注目がいくし、作り手も作りこむだろう。これはミュージカル映画では主人公は必ず歌手や踊り子であるということをより自然なそぶりで成すようなことだろう。それを西部劇に組みこむのはちょっとした野心であろう。まぁ、企画の順番は逆だろうが。
ヴァンパイアの素晴らしい燃えあがりかただけでも素晴らしいのだ。「何かいる」とか前振りは一切省略していきなり「ヴァンパイア」を「退治」する。それが仕事。
ああ。もう文章がグダグダになってきたが、とにかく面白かったのだ。