相米慎二『ションベン・ライダー』1983年、日本 をビデオで
いろんなところで指摘されていることだろうが、材木置き場での追い掛けっこはすばらしい。シークェンスショットとは無論、編集によっては汲みきれない俳優やその他のものの機微を漏らさないでおこうとする姿勢などの体現である一つの方法論であることはもちろんであるが、なによりも高水準のそれはただそれだけで、映画的なスペクタクルを引き起こすのである。高度な長廻しであるだけで観ている側とすれば「スゲェ!」と息を漏らす。そのこと「も」、相米はわかっているのであろう。
物的証拠はないが、初潮を迎えたと思われるブルースが海でこちら側とあちら側を同時に見詰めるショットも素晴らしい。
相米慎二の作品にいつも音楽は独特の雰囲気を与える。いかがわしくて、刹那い唄と曲は決して登場人物たちに寄り添ったり、ナラティヴに花を添えるようなものではなくて、観ている我々の側にある。
しかしながら、『台風クラブ』のほとばしるようなエネルギーを見せつけられた後では(年代的にはこちらが先だが…。観る順番がまずかったのか)この作品の少年達は杓子定規的すぎるように思う。
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