サム・ライミ『ダークマン』アメリカ。1990年 をビデオで

やはりこのダークマンは、『スパイダーマン』の予告編でもあることは一目瞭然である。ヘリにぶら下がってのアクションシーンや、ラストの建設中の高層ビルでの滑車を使った格闘などいうまでもないが、例えばリベット打ちから発射されたリベットからの『主観映像』や、主人公が科学者でありラボでマッドな実験を行っていたり、それ自ら用いて「邪悪な心」が芽生えたり、ちょうど『スパイダーマン2』の二人が一人になったような、というよりも順番で言えばあの蜘蛛男と蛸男はダークマンが分裂して二人になった陰と陽、神とピッコロみたいなものだろう。サム・ライミの演出理念が『死霊のはらわた』のときから一貫していて、最新作から演繹的にみると見事なまでにすべてはスパイダーマンのための習作にすらみえてしまうが、ここまでの云い方は過去の作品たちに多少無礼である。しかしこのダークマンでは、引用のしかた(例えばヒッチコックを何箇所かで使っていた)は映画オタクの域を脱していないとは思うが、そこが魅力でもあるし、そんないいかたしていてはタランティーノを擁護出来ないだろう。

ダークマン [DVD]

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