MEETING Y.Y.

のるかそるかそれが問題である。
10日の晩、バイトを終えたその足で梅田まで行き、夜行バスに乗り込み一路東京へ。mp3プレイヤーの内容を旅行にあわせて変更することが時間の都合で出来なかったので、バスの中ではそのまま入っていたSonic YouthCaptain BeefheartとSun RaとKing Crimsonなどを聞いていたが、へービーローテーションはMogwai。それまではgodspeed you! black emperorに比べたら少し落ちるな、と思っていたが少し好きになった。夜のビル街の中を走るイメージにぴったりだ。しかし、夜明けの新宿を車窓から眺めながらのMogwaiはもっとよかった。GY!BEを入れとけばよかったと後悔。
さて、早朝7時前に東京駅前で降ろされたので、店も開いてないしすることもないということで、約束の場所である御茶ノ水へ。案外小さい駅だ。しかしそれでも、約束は1時なのでまだまだ4時間くらい時間があるのだ。マクドに入って数年ぶりの朝マック*1を食べながら小一時間読書。ドゥルーズに関する新書を。読みやすいし、ある種感動的なことが書いてあるのだけど、どうも眉唾だ。ま、新書だし。
それでもなお普段は絶対に寝ている時間に街を徘徊、ろくに寝てもいないのに歩き回って股関節が痛い。目抜き通りを発見したので、どんどん歩いてみると、まだ朝なので開店はしていないのだが楽器屋が異常に多い。後で先輩に聞いた話ではかつてはスキー用品店が密集していたそうだ。それらを横目にどんどん歩くと三省堂が見えた。そのあたりをうろうろすると今度は本屋だらけ。どうやらここが神田神保町のようだ。しかしどの店もまだ開いていない。暇だったので御茶ノ水神田間を3往復ほどしてしまった。
そろそろ時間もちかずいてきたので御茶ノ水駅前の小さなモールのトイレでスーツに着替え、約束のホテルへ。
長い前振りだったが、いよいよ国民作家Y.Y.監督と面談。一足早くロビーで待っていると秘書の方と共に登場。秘書の方とは一度電話をしたことがあり、声が美人だたので期待していたのだが、元気なオバチャンだった。月並みな挨拶を済ませ、本題へ。私が哲学科で卒論は映画だったという話をすると、「テオ・アンゲロプロスとか?」とやや嫌味な口調で聞かれた。違います。作家論、作品論はしていません。現象学とか記号論とかそんなところです。と答えた。
国民作家Y.Y.はスピルバーグが嫌いだ。スター・ウォーズが嫌いだ。それらが売れていることにいらだっている。
踊る大捜査線』を始めとするフジテレビが仕掛ける映画が何故ヒットするかわからないと嘆く。ああいうゲーム的で実がないものが受けるのか、と嘆く。『マラソン』はよかった、ああいういいものが受ける韓国は羨ましい。いいものが受けるいい環境はもう日本にはないと嘆く。
小津安二郎と、ウィリアム・ワイラーが好きだ。
小津に比べたらスピルバーグなんか全然駄目だと言った。え?
最近何観たの?と聞かれて『逆境ナイン』です!とは答えずに控えめに『ミリオンダラー・ベイビー』を観ましたと答えた。イーストウッドも良いけど、小津に比べたらね。と言われた。え?
と言うわけで、秋にする講義のテーマは「映画を読み解く――『東京物語』を素材にして」である。
小津は凄い。偉大な監督だ。なぜならば「イギリスで最も権威のある雑誌"Sight & Sound"でのTOP TENに連続してランクインしているからだ。小津が偉大であることはこのように客観的な事実」だからである。はぁ。*2
何度かしばいたろかと思ったが、これは仕事なのだと自分に言い聞かせ「良い講義」を作ることを誓う。
さて、この決死の会見の後こちらでかんばって居られる先輩数名と落ち合い、呑みに連れていってもらった。勿論奢りではない。まず秋葉原近くの普通の居酒屋へ。まずい。ビール2杯で出た。次は浅草に行った。通りに面したいかにもな呑み屋で、ホッピーとモツ煮込み。うまい。次は適当な居酒屋へ芸術論を戦わせる。詩人である先輩と飲むといつも熱いトークバトルになる。そのあと、先輩の家に行き、別の役者を目指している先輩も合流してさらに呑む。この前まで清水崇監督の新作の手伝いをしていたそうだ。
彼らとの熱いトークバトルは久しぶりで面白かった。だが、彼は中学のときからアル中だったらしく、学生時代は2人で朝まで飲んでウィスキー1瓶開けたこともあったのだが、この日は焼酎1本だけ。このままだと30代で、肝硬変になって死ぬぞと医者に言われたらしく、昔より控えているらしく弱くなっていた。朝の8時くらいまで呑んで寝た。先輩は勿論その日の学校をサボった。ちょっと悪いことをしたかなと思うが、自己責任だ。
夕方に起きて、何が食いたいと聞かれたので「もんじゃ」と答えた。月島という場所へ連れていってもらった。その前に渋谷に行き、私がバイトしている書店の総本山を拝む。でかい。1階に「集中レジ」がある。要塞のようだ。しかしどんなにでかい店でも絶版や出版社品切れ重版未定の本はやはりないということも分かった。
月島に着き、地下鉄から階段を上って行くと何故か露店が出てる何かの祭かと思ったが、そうではないらしい。いうなれば露店祭、祭のための祭。露天を出すこと自体が祭であるようだ。しかも延々と露店が続く。露天を行ききったところで、空いている店はないかと探し適当に入ると、有名店らしくサインが沢山。とよた真帆のサインもあった。もんじゃうまかった。その日の晩、新宿発の夜行バスで帰った。遊びに行ったわけではなったが面白かったなぁ。あと「覚悟」も新たにした。
ああ、なんてつまらない文章だ。でもアップする。

*1:「朝マクド」とは言わないなぁ。そういえば。

*2:当然私も小津安二郎は偉大どころか異常な監督だと思っている。私はある種の狂気を感じる。