ユルグ・ブットゲライト『ネクロマンティック 特別編』ドイツ、1995年(1987年)

※1987年の『ネクロマンティック』、『ネクロマンティック2』をブットゲライト自ら再編集したものだそうだ。
男が主人公の前編と女が主人公の後編とに分けられると思うが、どちらにしても『死の王』に比べれば残念な出来。
それぞれ出だしがなかなか興味を引かれるものだったので、その後の展開は少しだるい。死体とのセックスの場面になると中途半端な「ムードを醸し出すような」映像処理になるのはつまらない。「死の王」がどちらかというと観念的に死を扱っていたのに対して、この作品は死「体」、物体にフェッティッシュなまでの執着があるのに、肝心のその発露たる濡れ場であのような照れ隠しでやっているのかと思わせるような演出はどうだろうか。
前編:
恐怖心のショック療法について博士らしき男がテレビで語っているのを見ながら、男が申そうとも回想とも取れるシーン。人体解剖をしている彼と、ウサギを捌いているオッサンのシーンがクロスカッティングされる。この演出はただ人間とウサギどちらも等価な体を持っている云々とういうこと以上のことを示すような気がしていたら、この前編のラスト、男は自らの腹をめった刺にしながら射精し、そのシーンとウサギを捌くシーンの逆回転がクロスカッティングされる。
男が食事する場面では執拗に口元がクロースアップされる。やはりシュヴァンクマイエルだ。
後編:
墓荒しの場面のモンタージュが面白い。女は墓を掘り死体を掘り起こしながら、その掘った土は墓石に振りかかる、墓石を埋葬という行為を埋葬する。
女の彼氏がポルノの吹き替え声優をやっているシーン。
切り取った男性器を皿の上に盛っている。これもシュヴァンクマイエル

全体的にまぁまぁと言ったところだが、いくつか良い編集が見られた。

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