プリュノ・デュモン『フランドル』フランス、2005年 @ユーロスペース2

例えばあの戦場に降り立ったヘリコプターは一体なんだったのだろうか、と考える前に、まず、もう既に我々の目の前にはヘリコプターが実際に降り立って、遺体を収容して消え去ってしまう。この事実の「強さ」とでもいうべきものが、フィルムを支えている。
フランドルのだだっ広い風景と、戦場のだだっ広い風景、そして必要最低限の人物たち。彼ら以外に誰も出てこないし、他にはなにも映ってこない。しかし、この世界が私達の世界と地続きなのか、全く閉じているのか、それとも逆説的に無限の広がりを持つのか。砂漠の遥か彼方に見える戦火の現実感のように、この作品の現実感が宙に浮いて揺れる。