ジャック・リヴェット『ランジェ公爵夫人』フランス/イタリア、2006年 @岩波ホール

冒頭3カット目のフレームサイズの選択にビビる。
ギヨーム・ドパルデューを久しぶりにみたら父親に似てきたなあ、と。彼のキャスティング(つまり芝居ではなく存在)が素晴らしい。プロローグで彼が玄関前の段差で足を踏み外した瞬間ドキリとする。そしてそのまま不安定に歩いてゆく。あの躓きは偶然なのか演出なのか。ギヨームから目が離せなくなる。
彼が初めて画面に登場するショットにおけるキャメラの往復運動が、実はこの作品を予告していたことに、彼の屋敷の時計の振り子の往復運動が止まっていることに気付いたとき、気づいた。行って戻るのくりかえし。だがはっきりとキャメラがそのようなドリーショットをするのは冒頭と中盤の2回だけだったと思う。