不肖の孫

部屋の大掃除をしたら、ないと思ってたものが出てきた。あると思っていたものがなかった。借りっぱなしのものが何個が出てきた。そんなものだろう。
アルバイトがなかなか見つからない。全然映画を観ていない。だが、部屋の大掃除をしたから気持ちは良い。
いま、夏目漱石の『草枕』を読んでいる途中なのだが、実は昔買って当時凄く読みづらくて、知らぬ間に中断していたのを思い出して少しずつ読んでいる。で、これが実に奇妙な作品で、最初の数章などは物語を放棄しているとしか思えない、主人公の心情描写とも言いがたいような記述、そして芸術論、文学論、といういよりもその批判に終始し、まるで漱石自身が世捨てびとのように思える。厭世感がみなぎっていて、ちょっとしたユートピア文学化とさえ思わせる。まぁ。読んでいる途中だから断定は出来ないが。床屋での掛け合いが非常に面白く、それまでの文面とは打って変わって講談調での掛け合い。おもしろい。昔途中で読むのを頓挫したのは当時私が無意識に想定した「文学」から微妙にずれていたからなのだろうかと思った。