料亭に行ったこと

記すのを忘れていたが、この前の集中授業の2日目の晩、料亭に連れていってもらった。看板も出ていない上品な日本家屋の店で、当然一見さんは入れない。お一人様弐万円から、と聞いた。
学校の公用車(座席暖房つき)で監督、学長と向かう。
部屋に通されると、香が焚かれ、金屏風がおいてあって、床の間には禅僧の書がかけられてある。「上座はどちらかな」とか、会話が交わされた、一応私も客人のカテゴリーの人間だったので監督と共に上座の方の席に座らされた。何が弐万円からというと、お絞りからして凄い。漆塗りの箱に入ったお絞りの下には菊の花が敷き詰められていて、顔を軽く拭くと、ほんのり香る。
女将が現れ、「本日はどうも…」と挨拶をすると、宴が始まる。
学長や監督のいる中で一人薄汚い私は、ヘタレ精神を発揮して、女中さんがなにか給仕するたびに「アー、スンマンセン…」と何も悪いことをしてないのに言い倒す始末。
どの食事もうまいにはうまい。いや、かなりうまい。アマダイのうろこをカリカリ・サクサクに焼いたものなど、絶品だった。だが、当然食った気がしない、ビールを呑んでも呑んだ気がしない。
デザートも2品出た。まずはフルーツをふんだんに使ったゼリー、そして、和菓子。最後は抹茶と言う具合だ。結構品数があって、案外腹はふくれる。全部終わると再び女将が登場、「本日は…」。帰り際、学長が女将に名刺を渡して「こっちに…」といっているのを目撃。
同席した、今回の世話人である教授もここにくるのは、まだ2度目だという。
こういうところでしばしば飯を食う人種と言うのはどういうんだろうか。当たり前になるとどうなるんだろうか。うーん。
なれないせいだろうが、なにか不穏な空気と、高級な空気を吸いこんだ。