鈴木清順『けんかえれじい』日本、1966年 をビデオで

清順の作品ということで、どうも「変わったことをしている」部分ばかりに注目しようとしてしまう。会津若松に舞台が移ってからの序盤、「あひる」なる先生を生徒たちがみんなしてからかう場面とか。あと、「マンモス先生」なる先生とのやり取りで教室を出る場面は後ろの扉から飛び出し、キャメラが左にパンして前の扉をあけるという期待通りのアクション。しかしそこで一言「山猿!」と叫んで退場というのは贅沢だが物足りない。
序盤の道子と手を繋いでいるのを見咎められた場面での夜の桜吹雪の美しさ。こういう単純な職人芸ともいえる美しさをたたえた映画はもう創られることはないのだろう。
やはり清順の映画は後半になるとテンポが上がってウキウキしてくる。柔道部員を蹴散らした高橋英樹を俳句をやる生徒が追いかける場面の繋ぎ方や、高橋英樹が振り向けばそこには道子がというような抜群の運動能力とでもいうべき繋ぎ。「上手い」といういい方はそぐわないが、「これだよ、これ」という感じだ。

けんかえれじい [DVD]

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