本多猪四郎『ゴジラ』日本、1954年 をビデオで

冒頭の一連の漁船の連続遭難。怪しく光水面。燃盛る漁船。この「怪しさ」というのはどれだけクオリティを上げてもVFXでは到達できない種類の生々しさである(無論VFXでしか不可能な種類の「怪しさ」もある)。この種の特撮を観るといつもこの種の生々しさに恍惚としてしまう。
しかしそれよりも何故か私の頭から離れないのは、志村喬が最初に登場する国会でのショット。彼はスーツを着ているが、ネクタイがジャケットの上に出ている。それに気付きタイをジャケットの下に収める。そして話し出す。何故だ…。頭から離れない。通してみても、彼がそのようなそそっかしい人物としては描かれていないし、国会で緊張しているというような描写にしては弱すぎる気もする。訳もなく『ゴジラ』という作品に闖入している様だ。これはバルトの言う「第三の意味」か…

ゴジラ [DVD]

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