ダリオ・アルジェント『フェノミナ』イタリア、1984年 をビデオで

虫や死体などのあからさまに嫌悪を催させようとしているような要素よりも、毎度アルジェントの映画にはもっとぞくぞくさせる細部の描写。すべてを見せないこと、あるいは一部をよく見せること、このカッティングがいいのだ。槍を組上げる細部を捉えたショットが繰り返し登場するが、そこがよい。
母親が殺人気の息子をかばって…というストーリー展開をアルジェント的展開といっても差し支えないだろうか。いつもながらだが、そこの伏線の張り方は『サスペリア2』(この邦題今からでも何とかならないのか…)などに比べると少し弱いかもしれない。
あと、何故か有名俳優であり、ラストだけ登場する父親があの仕打ちとはギャグなんだろうか。笑ってしまったではないか。仇には仇で応酬し合い、最期には「彼女」が仇を取る。壮絶なクライマックスにも笑ってしまったが。