Ming Lai『Pawns of the King』アメリカ、2005年 @茅ヶ崎市民文化会館(小ホール)

下記の『血族』と併映の17分の短編だったのだが、とても好感の持てる小品。
日系アメリカ人たちと、妻を亡くし、それを機に娘の住むアメリカにやってきた男との交歓を描いた作品。
至極当然のことなのだが、見た目はアジア人、日本人の男たちが、ジョージとかロバートとか言う名前を名乗るのが、狭い了見の日本人である私の頭を軽くゆする。
道を歩くシーンなど、もっとゆったりと余裕を持った演出をすれば良いのにと多少残念な部分もあったが、メインとなるチェス盤を挟んでのやり取りが丁寧に捉えられていてすばらしい。短編ということもあってか、見知らぬ人々が知り合って、深いやり取りをすることに、本の上では結構無理があると思うのだが、丁寧な切り返しによって、それらの矛盾はきれいに洗い流される。このフィクションで彼らがこのような交歓を実現出来たのは、映画の力の賜物である。