エリック・ロメール『緑の光線』フランス、1985年 をビデオで

実のところ私はゴダールよりもトリュフォーよりもロメールの方が「好き」というか、「肌に合っている」というか、そういう感覚がしている。
と、いうよりもロメールのような映像と音の撮り方が好きなのだ。いいかげんとも思えるようなキャメラワークはそれでいて、キャメラの前にもの、というよりことを的確に捉えていて生々しいとか瑞々しいとかいう形容は陳腐かもしれないが、これらの形容詞はロメールのフィルムのためにあるのではないいかと思ってしまう。
やはりダイアローグが中心。アクションはほとんどなく(しかしながらヒッチコックを思わせもする、階段の上り下り(特に下り)というアクションは何度となく画面に登場するし、それがいちいちすばらしい。)、話しをする人々が目の前には居る。が、しかしその会話の内容、言葉はもとより人が喋るというアクションがつぶさに捉えられていて、これは映像なのだから当たり前かも知れないが、この当たり前のことが出来ていない映画がほとんどであることを思うと、これはやはり卓越した演出の賜物だとおも思うし、やはり、豊かな偶然に身を任せる勇気と確信も感じる。

緑の光線【字幕版】 [VHS]

緑の光線【字幕版】 [VHS]