ジョン・カーペンター『エスケープ・フロム・LA』アメリカ、1996年 をDVDで

何よりもまず、この内容を101分に収めたことが美しい。
的確に見せること、見せすぎないこと、が出来ていない映画がほとんどであることからも考えるに、このフィルムが2時間弱で終わることがどれだけ尊いか。波乗りや風乗りなどの魅力的なガジェットは思慮無しに撮るとあっという間にポール・アンダーソンの『キングコング』のような3時間の映画が出来あがってしまうだろう。
それでもそれぞれのパートがいちいち素晴らしい。
これを今観直したことには意味があったと思う。アメリカでは自由はとうの昔に死んだ。という台詞はもはやハードボイルドな冗談ではないし、流刑地と化したLAの構図は言わずもがなである。
これが映画持つ力である。と力説することにも吝かではないが、やはり各々のショット、シーンの素晴らしさに浴したい。
敵に囲まれ、空缶を放り投げ、「落ちたら抜け」というシーン。の容赦ない素晴らしさ。とにかく銃の使い方が素晴らしくて、撃たれた者の動きもあいかわらず的確である。
2013年までには必ずスネーク・プリスケンは再び我々の前に姿を現さなくてはならない。