リチャード・フライシャー『ラスト・ラン/殺しの一匹狼』アメリカ、1971年 をビデオで

端正な美しいフィルムである。
黒沢清の発言にあった、重要な出来事がワンカットにちゃんと収まっている、というのを確認。2回ある爆発シーン、ショットはどちらも一つのカットの中で奥で爆発キャメラ側に人が走ってくるという構図。とくに後者の主人公が車に火をつけ爆発させるシーンでのショットは圧巻。なんというか、ちゃんと爆発させている、という感じがある。
前半に気になるショットが2つあって、一つは娼婦とのシークェンスの最期、娼婦の髪にリボンを結んでやったあと、主人公は部屋を出る為に扉を開ける。そのときカットは変らずに扉が開く音がして、この娼婦の顔が明るく照らされる。そして再び扉は閉まりもとの明度に戻る。この明るく照らされた娼婦の顔の美しさが印象に焼きついてしまい、まさかラストで裏切るとは夢にも思わなかった。再び登場することは半ば「祈る」ように待っていたのだが。
もう一つは脱走させる男を車に呼びこみ、発車するシーン。このとき車の前を白黒の犬が右から左へ横切っていく。これは一体なんなんだ。車が発車しキャメラが左へパンしてももうそこには犬の姿は無い。