フランシス・コッポラ『ペギー・スーの結婚』アメリカ、1986年 をビデオで

奇しくもというべきか、当然というべきか、今日観てきた上記の『百年恋歌』に続いてこのフィルムもファーストショットが素晴らしい。こちらも夢のようなフィルム。
そしてそれに対応するラストショット。アルノー・デプレシャンの発言集『すべては映画のために!』で言及されていたのが気になっていて見たのだが、予想以上に素晴らしい作品だった。
とにかく最初の「トリックショット」。つまりそこに鏡などないのだ。このトリックショットの構造がこのフィルム全体を象徴している。決してメタ的な表現をあからさまにしているわけでもないのだが、デプレシャンの指摘通り、このトリック撮影に気付いてしまった瞬間から、この映画の荒唐無稽な物語をすべて受け入れる腹になってしまう。
そして最期のショットにそれが連なるわけだが、こちらは果してとリックショットかどうか、トリックショットを使わなくてもこちらは可能のような気がするが、ファーストショットが明かにそうなので、そうであるとしてしまおう。
このトリックショットは、人生と映画を繋ぐ稀有な表現である。

すべては映画のために

すべては映画のために