トビー・フーパー『悪魔のいけにえ』アメリカ、1975年 をビデオで

やはりこのフィルムのテンションとでも云おうか、血圧の高さはただ事ではない。恐怖というよりは狂気の乱痴気騒ぎといったところであろうか。いまさら指摘するまでもないだろうが、レザーフェイスを筆頭とするこの家族の怖さとは、不可解さであるが、その不可解さは最期まで晴れることはない。しかしそれらのキャラクター作りの面白さとは別の次元で、このフィルム自体のただならぬ血圧の高さは、「事件」が始まる前の、最初の車椅子のフランクリンが草むらで用をたすところだとか、墓地でじいさんがこのフィルムの恐ろしい結末を予言するショットだとかの、ある種実相寺昭雄のそれと共通項を見出せるような、構図の画面からも鼻血のようににじみ出ている。
むろんラストの朝やけにチェーンソウを振りまわすレザーフェイスの畏れを孕んだ美しさには、ただただ感服するのみである。

悪魔のいけにえ [DVD]

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