ジャン=リュック・ゴダール『映画史特別編 選ばれた瞬間』フランス、2005年 @シャンテシネ

本当に、どういう基準でどのような組み立てでイマージュが「選ばれて」いるか良く分からない部分がほとんどで、例えば私がかつて『映画史』を観て「好きだ」と思った部分があったりなかったり、要するに出鱈目というか適当に選んでいるのではないか、と無学な私は思ってしまうのだが、あながち検討はずれでもないような気もする(上映前に蓮實重彦が言っていた以前からの持論である「ゴダールの言っていることの半分は嘘である」)。
しかしながら一個の作品として出来あがって、ここに提出されたものを観ると、どうとでも組みかえられそうにみえるにもかかわらず、それを観てしまうと他の可能性など最初からなかったかのようにフォルムが素晴らしくきまっているし、それが半分は嘘であるような言説についての強い確信に裏打ちされていて、困ってしまう。結局いつも困るのこのゴダールの確信している様だ。これが詐欺師たる所以か。
だからそうのうち私も『映画史』をでっち上げるしか道はないのだろう。
それとやはり(蓮實重彦も指摘していることだが)女優の顔を撮るのが本当に見事だ。これをやろうとして何度失敗したことか。本当にどうやって撮っているのか知りたい。